今日の3年生の道徳は、「生きている仲間」という教材を使って授業を行いました。
今回の授業で一番大切にしたのは、「子どもたち自身の問いで授業を進めること」、そして「板書に並ぶ言葉の多くを、子どもたちの生の言葉にすること」です。
「生まれたら死ぬ」「同じチーム」——子どもたちが捉えた“仲間”のイメージ
導入ではまず、「これまでに生き物を育てた経験」を自由に話してもらいました。
命と向き合った経験があるからこその、切なくも温かい言葉が最初からあふれ出します。
そこで、今回のめあてを 【なぜ、生きている“仲間”?】 に設定し、「仲間」ってどんなイメージ?と投げかけてみました。
すると子どもたちからは、
「同じ」「チーム」「いっしょにがんばる」
「信じ合っている友達」
「生まれて、死ぬもの」
という、大人もハッとするような深いキーワードが飛び出しました。
やよいさんとトマトは「一方通行」じゃない!双方向の関わりへ
事前宿題で集めていた「子どもたち自身の疑問(なぜ早起きしたの?なぜ話しかけたの?)」を軸に、物語を読み深めていきます。
「やよいさんとトマトは『仲間』と言えるのかな? もし仲間なら、やよいさんからトマトへの『一方通行』のお世話なのかな?」
こう投げかけると、子どもたちの思考が動き出しました。
「ううん、トマトからも、やよいさ んは何かをもらっていると思う!」
ここから、お互いに何を送り合っていたのかを黒板の矢印を使って整理していきました。
【やよいさんからトマトへ】
「水」や「笑顔」だけでなく、実際の体験と重ねて語ってくれる子もいました。
「ホウセンカに優しい声をかけて育ててます。」
そんな実体験から、「元気に育ってね」「大きくなってね」という“はげましの言葉”がどんどん出てきます。
中には、
「心の中でトマトにありがとうって思っていたと思う」
「優しい言葉をかけると、きれい(元気)に育つんだよ」
という素敵な意見も飛び出しました。
【トマトからやよいさんへ】
トマトが返してくれたもの。子どもたちは「栄養」や「水分」といった目に見えるものだけではないことに気づきます。
やよいさんが与えるだけでなく、トマトから「心と体を元気にするパワー」をもらっていたこと。
双方向の矢印の真ん中を指さし、「じゃあ、この二人の関係を一言で言うならどんな関係?」と尋ねると、子どもたちは迷わず「友達」「家族」「仲間」と答えてくれました。
トマトから、スズメやアリ、すべての命へ
物語の後半、やよいさんは自分で育てていないスズメやアリにも話しかけるようになります。
なぜ対象が広がったのかを問いかけると、子どもたちのまとめが見事でした。
トマトとの出会いとお世話を通して、目に見える生き物すべてに対する「命の温かさ」に気づいていった子どもたち。
授業が終わる頃の黒板は、私が準備した言葉ではなく、子どもたちが自分の経験と心から紡ぎ出した言葉でぎっしり埋め尽くされていました。
教師が導くのではなく、子どもたちの「問い」と「気づき」で紡いだ45分間。
命を育てることの愛おしさ、そして「生きている仲間」と共に生きる喜びを、子どもたち自身の言葉から学ばせてもらった素晴らしい時間となりました。
子どもたちの振り返りより(授業を終えて)
授業後、子どもたちに「これからの自分と生き物・食べ物との関わり」について振り返りを書いてもらいました。
自分の体験と重ねて
「放課後、水をやっていないで帰ったら枯れていたことがあったから、これからは学校へ行く前にあげようと気づきました。」
「いただきます」の意味に気づいて
「トマト以外の生き物を育てる時も、水やりをして、育ったものに感謝を込めて食べようと思いました。好き嫌いをせずに食べ物を食べたいです。」
「ご飯を食べる時に、『これは誰かの命をもらっているんだ』と思いながら食べたいです。」
心でつながる温かさ
「やよいさんとトマトは『幸せを分け合っている』と思いました。私はやよいさんと同じで、ぬいぐるみに話しかけることがあるので、気持ちがすごく分かります。大事にしているものには話しかけたくなるし、お母さんも植物に水をあげながら話しかけていたので『こういうことか!』と思いました。
これからの関わりを変えてみたい
「私は今、モスビー(多肉植物)を育てています。やよいさんみたいに話しかけたりしていなかったから、これからは話しかけてみようと思いました。」
過去の経験をこれからの優しさに
「僕は途中でクワガタやカブトムシを育てるのをやめて死なせてしまったことがあって、その時は『ただの虫』だと思っていたけれど、今日の学習で虫も生きていると分かったから、次捕まえたら最後まで育てたいです。」
「自分に関係あるか」から「命を大切にする」へ
「これまでの自分は、ホウセンカを学校に持っていかなくていいなら『水やりをしても意味がないな』と思っていたけれど、これからはしっかり水やりをしたいです。」
愛情にこたえて「恩返し」
「僕は、トマトがやよいさんに『恩返し』をしていると思います。やよいさんは自分の子どもみたいにトマトを育ててあげていたから、トマトが栄養を恩返ししたんだと思います。」
子どもたちの言葉からは、授業を通して目線が優しく変わり、自分の生き方を見つめ直した様子がひしひしと伝わってきます。考えを聴き合う中で、一人ひとりにとって大切な学びを見つけ出してくれた道徳の時間となりました。