今日の3年生の道徳は、「たてわりはんそうじ」という教材を使って授業を行いました。
今回の授業で大切にしたのは、子どもたち自身が普段感じている「相手の気持ちが分からなくて困った経験」から出発し、登場人物の心のすれ違いを通して、「お互いに気持ちを分かり合うにはどうすればいいのか」を深く追求することです。
「相手の気持ちが分からない」子どもたちの等身大のモヤモヤ
授業の導入では、まず日常で「相手の気持ちが分からなくて困ったこと」をみんなで出し合いました。
「友達とケンカになった時(泣く・怒る)」
「勝ち負けがある時」
「多数決やジャンケンで決めるとき」
身近なモヤモヤと重なったところで、子どもたち一人ひとりに「自分だけの問い(マイめあて)」を聞いたうえで教科書の場面に入っていきました。
表の言動の裏にある「本音」と「言えない葛藤」
教材に登場する「夕里」と「いつき」。 夕里はほうきを使いたいと言ういつきに「今日はぞうきんの係をしてね」と伝え、いつきは何も言わずに黙り込んでしまいます。
板書の中央に二人のイラストを描き、二人の表面的な言葉と裏にある「本音」を整理していきました。
【夕里の本音】: 「ぞうきんのコツを教えてあげたい(優しさ)」
【いつきの本音】: 「先生に教えてもらったから、試してみたい(やる気)」
整理してみると、どちらにも悪気はなく、むしろお互いに「善意ややる気」があったことが分かります。それなのになぜ、すれ違ってしまったのか?
「なぜ、いつきは本音を言えなかったんだろう?」と投げかけると、子どもたちからは3年生ならではの等身大の心理が飛び出しました。
「何か言ったら、もっと怒られるかもしれない」
「自分より年上の人(上級生)を怒らせたら怖そう……」
単に「本音を言えばいい」という綺麗事ではなく、「言いたくても言えない葛藤」に寄り添った本音が出ました。
「分かり合うには?」子どもたちの解決策
授業の後半では、「気持ちを分かり合うにはどうしたらいいか?」を考えました。
「『ごめんだけど…』みたいなクッション言葉を使って本音を話す」
「相手の気持ちを考えて聞く」
「本当のことを正直に言う」
様々なアイデアが出された中で、最後に私からひとつの大切な視点を伝えました。
「相手の気持ちを聞いても、完璧には分からないこともあるよね。でもね、分からなくても『分からないまま大切にする』という関わり方もあるんだよ。」
相手を100%理解できなくても、相手の思いや立場をそのまま尊重しようとする優しさ。この言葉は、子どもたちにとって少し理解しにくかったかもしれません。
【子どもたちの振り返りより】
授業後、ワークシートに書いてもらった振り返りをご紹介します。友達との対話を通して、自分の生活やこれからの生き方を見つめ直した温かい言葉がたくさん集まりました。
1. 自分の生活や経験と結びつけて(これからの行動)
「バスケのスクールの帰りに余計なことを言ってしまい、相手の気持ちを考えられなかったです。ただ『ごめん』と言ってしまったので、今日学んだことを生かして次は伝えたいです。」
「わたしも腹が立ったら何も言わずにその場を離れてしまうけれど、本音で仲直りしたいので、ちゃんと理由を聞くようにしたいです。」
「今までは自分ばかり話していたかもしれないです。次に言い合いになったら自分の話もしつつ、相手の話も聞いて仲直りしたいです。」
「面倒くさくて他人事みたいにしてしまった経験があるので、これからは『クッション言葉』や『相手の気持ちを考えて聞く』を使ってみようと思いました。」
「妹と喧嘩する時は妹の気持ちから聞いているけれど、夕里が『わがまま』と勘違いしたように、自分も妹のことを勘違いしているかもしれないと思いました。次からは自分の気持ちも伝えたいです。」
2. 「気持ちを分かり合う方法」に納得して
「分かり合うためには、最初に相手の気持ちや意見を聞いてあげることが大切だと思いました。」
「気持ちを分かり合うには、自分の思ったことを勇気を出して伝える(言う)ことだと思いました。」
「自分の意見と違っても、相手の意見を大事にして『あなたはそう思うんだね』としてあげることです。」
「本音を正直に言ったらいいんだなと思いました。お互いに気持ちを言えたら、最後にニコニコになると思います。」
3. 登場人物の気持ちを深く読み解いて
「夕里も自分の本当の事を言っていないのに『なぜ言ってくれなかったの?』と言うのは少し反対です。本音を言わなかったから噛み合わなかったのだと分かりました。」
「いつきが本音を言わなかったのは、夕里の気持ち(本音)が分からなかったからだと分かりました。」
4. みんなで聴き合った(相互学習)からこその気づき
「わたしは1人では詳しく考えていなかったけれど、みんなと考えるとこんなに発想が湧いてきてすごく良かったです。『何か言ったらもっと怒られる』という意見に納得できました。」
「友達が発表してくれたおかげで、前とは違う考えが持てたし、自分のマイめあてが解決しました。」
「友達が言っていた『相手の気持ちが分からなくて困ったこと』がすごく『あるある』で、共感できました。」
自分の失敗を素直に振り返り、「明日からこうしてみよう」と前を向く子どもたちの姿に、私自身も大きな学びをもらった時間となりました。

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